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演目 | 翁(ダイジェスト)
番組
このたび、肥後細川家の地、熊本は水前寺成趣園にて喜多流「翁」公演を行う 運びとなりました。
熊本藩主であった細川家は、能楽とゆかりの大変深い大名家です。細川藤孝(幽斎、1534-1610)をはじめ、代々、細川家の当主は能楽を愛好し、自ら実践してきました。
その細川家の能楽を担っていたのが、喜多流友枝家による本座と、金春流櫻間家による新座の2つの座です。
今回、友枝家・櫻間家の当代が、細川家ゆかりの水前寺成趣園内・出水神社能楽殿に集いました。
水前寺、出水神社という名の通り、この地は豊富な湧水にめぐまれています。能楽「翁」のなかの「どうどうたらり」「鳴るは瀧の水」といった水のイメージが想起させられます。
水前寺成趣園は、肥後細川家の初代熊本藩主細川忠利(1586‒1641)から細川綱利(1643‒1714)の三代に亘って作庭された庭園です。庭園内にある出水神社は明治11年に創建されました。このとき能楽殿も建てられましたが、惜しくも昭和40年に火災によって焼失。今回舞台となった能楽殿は、昭和61年、昭和天皇御在位60年記念の折に、熊本県八代市の旧八代城主・松井家より移築されたものです。
PHOTO: Yamato Ikehara(YUKI TSUJI
+ Plants Sculpture Studio Inc.)
今回の公演では、華道家であり舞台美術家でもある辻雄貴氏によって、客席エリアに1日限りの特別なしつらえが施されました。人と自然、植物、季節との関係性を重視する辻氏は、自然の生命力を人間の創造力で復元させる
きっかけとなる能舞台を考えます。かつて紫宸殿に植えられた「右近の橘」と「左近の桜」に着想を得ながら、公演の季節に寄り添った「右近の紅桃」と「左近の白桃」として表現されました。また、客席には熊本特産の畳を用い、桟敷をヒントにした特別な席も用意されました。
華道家。1983年 静岡県出身。工学院大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了。辻雄貴空間研究所 代表取締役。徳川慶喜公屋敷跡浮月楼芸術顧問。建築という土台を持ちながら追求する「いけばな」は、既存の枠組みを超えて建築デザイン、舞台美術、彫刻、プロダクトデザインなど、独自の空間芸術として演出される。
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