番組
日本のふるさとである奈良、大和の地。能楽もまた、奈良をふるさととしています。
世阿弥の『風姿花伝』によれば、聖徳太子の時代、世間に災いが生じた際に秦河勝が内裏紫宸殿にて「六十六番の物まね」を行ったところ、世は太平になったといいます。これをのちの時代、3番に定めたものこそが「式三番」すなわち「翁」であると記されています。つまり、河勝とは、猿楽、「翁」の芸の創始者であり、その人物が生まれた場こそ、初瀬の地でした。
初瀬にかかる枕詞「隠り国の」とは、ここが山に囲まれていることを意味します。長谷寺の歴史は7世紀終わり頃に始まりますが、水や森林、岩盤といった自然豊かな初瀬の地は、それ以前から聖地であったらしいといわれています。
日本最大級の十一面観音像を本尊とする国宝の本堂です。
奈良大和路の「花の御寺」とも称される観音霊場・長谷寺は、隠り国(こもりく)の地として、古くから幅広い信仰を集めており、また、「翁」を創始したとされる秦河勝が生まれた川・初瀬川の源流に位置するなど、能楽と深く関わるトピックに満ちています。
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